「バットマンの話だよね?」と疑うくらい、悪役のジョーカーが際立っている『ダークナイト』。アメコミヒーロー映画のつもりで再生してみたら、ドキドキハラハラのサスペンスものでした。
よく作りこまれたストーリーもさることながら、最も関心を持ったのは、バットマンと対立するジョーカーでした。
ジョーカーは映画の頭からインパクトのある登場をします。さらに序盤から「コイツはやばい」と感じさせられました。この「やばい」はフツウではない、狂気的なやばさ。簡単に感化されてしまう僕は、ジョーカーの狂気に憑りつかれ、精神的にやや不安定な状態に。メンタルが弱っている人にはオススメできないくらい刺激的な作品です。
ともあれこれは映画。その映画だというのを忘れさせる話の構成と見せ方、そしてリアリティに感激しました。中でもジョーカーの会話のシーンに見られる、口を動かした際の「くちゃ」っとした音。何気ない所作からも役を引き出しているのを伺えます。
ジョーカーの狂った笑い方、狂気めいたことを淡々と語る口調、どのような状況であっても変わらない余裕の表情。罪悪感など一切なく、全てを楽しんでいる異常な雰囲気に圧倒されました。インパクトのある顔に負けない狂気を役者自身が演じており、メイクとの相乗効果で「やばさ」が増しているのを感じました。
ストーリーの起承転結に関しても、ジョーカーにうまいこと転がされた「転」が何度もあります。予測不可能な彼の行動とそのカリスマ性から、どうなってしまうのだろうと不安感が終始離れませんでした。そのくらい強烈な印象を持った作品です。
俗世と離れた刺激がほしいときにオススメしたい1本。
ジョーカーを演じたヒース・レジャーは2008年に亡くなっていました。とても残念です。
この写真がとてもカッコイイ。